本市公共下水道事業は平成31年4月より、これまでの官公庁会計(特別会計)から、地方公営企業法の一部(財務規定等)を適用し公営企業会計へ移行しました。

地方公営企業法とは

 地方公共団体が医療の提供や公共輸送の整備、上水道の整備、下水の処理など地域の住民や地域の発展に不可欠なサービスを提供する事業を行うために経営する企業活動を総称して「地方公営企業」といいます。
 地方公営企業にも、一般行政事務を規律することを目的として定められている地方自治法、地方財政法、地方公務員法が原則として適用されます。しかし、これらの規定を全面的に適用したのでは、効率的な事業の運営を行うことができない可能性があります。
 そこで、地方公営企業が運営する事業の実態に合わせ、効率的に運営することが可能となるよう制定されたのが「地方公営企業法」です。企業としての経済性の発揮、本来の目的である公共の福祉の増進を図るように運営されていくことが期待されています。

会計方式の違い

 現在の特別会計を官公庁会計方式といいます。地方公営企業法の一部(財務規定等)を適用することにより会計方式が企業会計方式となります。
 官公庁会計方式は、現金の異動に着目し、異動があった時点でその事実について収入と支出に分けて計上する現金主義、現金という経済価値の増減だけ記録する単式簿記となっています。一方、企業会計方式は、現金の収支の有無にかかわらず経済活動の発生時点(債権・債務が発生した時点など)で計上する発生主義、一つの取引によって生じる価値の増減と他の価値の増減の両面に注目し記録する複式簿記を採用しています。さらに、一定の時点において保有する全ての資産、負債及び資本をまとめた貸借対照表、一事業年度における経営成績を表す損益計算書、一事業年度の収支の状況を活動ごとに区分して表すキャッシュ・フロー計算書といった財務諸表を作成します。

地方公営企業法の適用による効果

ストック情報の把握

 会計情報と財産情報の連携が図られ、より適正に財産を管理することができるようになります。

コスト情報の把握

 発生主義・複式簿記となることで、コスト情報を把握でき、減価償却の考え方が導入され、資産の老朽化の状態を的確に把握することができます。

説明責任の向上

 損益計算書や貸借対照表などの財務諸表を作成することで公開することにより、市民の皆様に事業の運営状況をよりわかりやすく説明することができます。


 経営状況を的確に把握し将来の経営計画に役立てるとともに、整理した資産の情報を活用し下水道管・施設の老朽化対策や更新を計画的に進め、今後も持続可能な事業運営の実現に努めていきます。