共通市章

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15.伝説「龍巣院の乾龍」

龍巣院の乾龍
 これは稲梓の箕作にある龍巣院に「雨乞の龍」とも「乾龍の小箱」ともいい伝、えられる話である。
 昔、昔、稲生沢川の上流に、中原というところがあり、そこに大きい古池があった。
 この池にはいつからか恐ろしい毒龍が棲みついていて田畑を荒したり、人畜を害したりして、村の人達は大変因っていた。
どうにかしてこの毒龍を退治する工夫はないかと相談したが、よい考えは浮ばなかった。
龍は荒れまわっていた。
 或年のこと、景勝院の吾宝(ごぽう)禅師が此の地方に御巡錫(ごじゅんしゃく)な
されて村人から此の話をきき衆生済度、村人の難儀を救ってあげようと決心なされ、朝夕池のほとりに立って魔呪品(まじゅぽん)という有難いお経を読詣(どくじゅ)された。
雨の日も風の日もおごそかに続けられた。
と不思議なことに、池の水は日に日にかわき涸れてゆくと同時に毒龍の大きな体もだんだんと縮まってゆく。
吾宝禅師は尚も一心に読経を続けられるうちにさしも大きな毒龍も池水の干上ると共に1寸(3センチ)ばかりになって池の底に乾死してしまった。
これを見た村人たちは「これで毒龍の害から免れることができた。
吾宝さまは村の守りじゃ」とあがめたてまつり御礼をのべると共に禅師を敬慕し帰依するようになった。
それから間もなく村では禅師のために一宇を建て稲沢山龍巣院と名づけ乾上った龍も小箱に納めて寺宝とした。
 今この古池のあとは池田といって水田になっている。
村の人たちは幾日も幾日も日照りが続いて水不足で困る時は寺にお願いして、寺宝のこの乾龍の小箱を寺畔の妙善ケ渕に据えて雨乞いをすると必ず雨が降るそうである。
下田市の民話と伝説 第1集より
 更新日:2007/04/01
 
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