共通市章

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32.伝説「化石水の観音さま」

化石水(けいしみず)の観音さま
 下田駅から石廊崎方面に向うバスで3つ目の停留所に吉佐美の多々戸というところがある。ここで下車して進行方向のまま50米もゆくと通称s字カーブと呼ばれる峠を越えて道がsの字形に曲っている所がある。始めの曲り角でふり返ると、奥手の方に裏畑山が見える。ここを源にして流れてくるのが入田川でカーブはこの川の上で大曲りして出ると入田部落が現れる。
 このあたりの川中に「化石水(けいしみず)の観音さま」がある。
 いつごろから誰がどう祀ったものか判らないが霊験あらたかで病気や悩みをもつ人はこの観音さまの、その所を撫でたり、洗ったりすると忽ち治るというので腹の痛む人は腹を眼の人は顔と覚しい所の凹みを洗うとよくなるというので、近郊近在の人々はよくお詣りした。
お寺やお堂があるわけではない。巌の頭が川の中に出ているだけで、これを「観音さま」として拝むのである。御利益のあるところから、奉納の旗などが昔は川岸に並んでいたものである。その頃、野良で働く近所の人達の子供を預って、この観音さまの前の川原で遊ばせてくれた万松婆さんという話上手な人がいた。
この婆さんから何回となく桃太郎の話をくり返し聞かされたり「ここに橋のない頃は大水が出る度に子供等がよく流されたものだ。だが、そのたんびにこの観音さまが助けて下さったんだよ。
頭の痛い時や頭がよくなりたい時はこの観音さまの頭を洗い清めよくなでてあげると、痛みもとれるし勉強も出来るようになる」と開いて、子供心にもこの観音さまの頭をよく洗ったものである。
 ここにかけられた橋は丸木を並べたいわば土橋であったが橋下には奉納の旗をもう下げる場所もない程だった。
人々は履物を脱いで素足でこの橋を渡っていた。橋下に観音さまがあったからだ。
だがこの橋も道が変ったためか、いつの間にかなくなってしまった。
長い年月人助けの観音さまとして、この渓流にある観音さまも古くから拝まれたものであろう。
それにしても必ず洗い浄めて拝むのであるから、毎日ということは恐ろしいもので水面には金色の尾を引いたお姿がうつっていたという。
今は川水も減り土砂が流れたまり埋まって観音さまのお姿も見えなくなっているが、大雨でも降って川が洗い浄められると大古の姿をとりもどして観音さまも拝まれる。先日雨上りの朝雑木の枝を払いのけながらお参りしたが、フト見ると雑草の中に皿のようなものが見えたので、かきわけてのぞくと暖かそうな赤飯が置いてあった。
 誰が上げてくれたのか先祖代々の信仰心をうけついで観音さまを祀ってくれる人の心が流れ伝わっていて嬉しかった。
(吉佐美 進土蔵造 談)
 道路添いの崖上にいぼ地蔵と呼ばれる地蔵様もある。
いぼのできた時はその前に上げられた石を借りてさすると不思議ととれるといい、とれたら1個を追加して礼参りをするので沢山の小石があげられている。
下田市の民話と伝説 第1集より
 更新日:2007/04/01
 
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